マグカップの中の明日

どこかのだれかのある日

8月10日

お風呂が壊れた。

正確に言えば、お風呂の蛇口が折れてしまった。

 

この部屋に住み始めて3年になるけれど、このアパート自体はかなり古くて

大家のおばあちゃんの話によると築40年は下らないという。

 

壊れては直す、壊れては直すを繰り返したアパートのこの部屋は、自動洗浄機能付きの

最新のトイレと、シャワーは無く、蛇口でお湯を溜めて水で熱さ調節する、お風呂と言うよりかはむしろお湯を張った大き目の鍋が混在していた。

 

お風呂掃除をしているときに、蛇口の近くにカビのようなものを見つけて

思いっきりスポンジでこすった。これでもかとこすっていたら、蛇口が

見たこともない折れ方をした。

大家のおばあちゃんに訳を話したら、

「仕方ねえよなあ、古いんだから。きっと疲れてたんだ」

と笑っていた。

 

業者に電話をしたが、近くの店舗は定休日らしい。

そちらに向かえるのは明日の朝になります、とのことだった。

 

今日はこのお風呂は使えない。

冬だったら一晩くらいお風呂に入らなくてもいいと思える。

でもこんなにも暑いと、さすがに汗を流したい。

 

そう言えば、近所に銭湯がある。あまり長風呂が得意ではないから、わざわざ行くことはなかったけど、ちょうどいい機会だ。

 

着替えとタオルと多めの小銭を持っていく。

お風呂上りに牛乳でも飲もう考えていた。最後に銭湯に行ったのはいつだっけ。

小学生の時におばあちゃんと姉と歩いて銭湯に行ったけ。

 

外は思っていたよりも涼しかった。空に浮かぶ月を見て、なぜだか心が躍った。