マグカップの中の明日

どこかのだれかのある日

12月20日

冬の夕暮れ時が怖い。

少しずつ暗くなる空に、自分も溶けていきそうだから。

 

大学に行くのもあと少し。この家に暮らすのもあと少し。

就職を機に春から一人暮らしをすることが決まった。

色々なことがカウントダウンされていく。

 

猫の金ちゃんは連れていけない。

金曜日に拾ったから金ちゃん。白い体に黒いぶちの大猫だ。

 

年が明ければ、卒業論文の提出と卒業式、卒業旅行の予定が目白押しだ。

きっとすぐ、この家を出ていく時がやってくる。

 

冬の、駅から家への帰り道、いつも空に吸い込まれそうな気がした。

家に近づくと漂ってくる夕飯の匂いが、いつも私を引き留めた。

 

新しい街に、私を引き留めてくれるのだろうか。