マグカップの中の明日

どこかのだれかのある日

2月7日

朝、カーテンの外がいつもより明るかった。

隣の子供を起こさないように布団から出て、カーテンの隙間から外を見た。

「あっ」

雪が積もっていた。どおりで寒いはずだ。

昨晩の予報ではこの辺りは積らないと言っていたのに。

 

リビングへ降りてストーブを付けた。

トーブの周から少しずつ空気が柔らかくなっていくのを感じた。

 

着替えてから朝ご飯作る。その前に洗濯機を回す。

この時期の洗濯はあかぎれだらけの手にはつらい作業だ。

今はまだ小さい子供の服も、そのうち大きくなるのだろう。

 

今日は子供も学校は休みだし、雪遊びをしたがるかもしれない。

去年は数センチしか雪が積もらなかったから、こんな高く積った雪を実際に見るのはあの子にとって初めての経験だ。

 

携帯が鳴った。夫からのメールだった。

「こっちはかなり積ってるよ。健太は雪遊びするのかな」

 

単身赴任は残り1年半ほどだ。

数か月会わないだけで、子供はどんどん大きくなるなあと言っていた。

最後に帰って来たのは正月だったか。

久しぶりの父親との再会はそっちのけで、遅めのクリスマスプレゼントに夢中だった。

 

積った雪に大興奮の子供は、いつもの数倍のスピードで朝ご飯を食べ終えて、雪遊びをしに行った。

 

「ママ、雪だるま作ったよ。見に来て」

片付けを終えるころに玄関から子供が読んだ。

すぐ行くね、と返事をして急いで片付けを進めた。

 

「これがぼくね。これがママ。これがパパだよ」

写真に撮って、夫に送ろう。真っ赤な鼻の子供とともに。